「濁った頭」(志賀直哉)
自伝的要素を色濃く宿した生粋の純文学 「濁った頭」(志賀直哉)(「清兵衛と瓢簞・網走まで」)新潮文庫 基督教の教えを守り、自らの性欲を「私」は抑えてきた。しかし家に手伝いに来ていた四歳年上の女お夏に誘われるがまま、「私」...
自伝的要素を色濃く宿した生粋の純文学 「濁った頭」(志賀直哉)(「清兵衛と瓢簞・網走まで」)新潮文庫 基督教の教えを守り、自らの性欲を「私」は抑えてきた。しかし家に手伝いに来ていた四歳年上の女お夏に誘われるがまま、「私」...
旧版も捨てがたい魅力があるのです 現在存命中の作家であれば、同じ作品が複数の出版社から刊行されているということはあまりありません。でも、すでに鬼籍に入っている作家の場合、著作権保護期間が過ぎている関係で、いくつかの出版社...
「死」を超克したような心の平穏 「城の崎にて」(志賀直哉)(「小僧の神様・城の崎にて」) 新潮文庫 事故による怪我の療養のために城崎温泉を訪れた「自分」は、一つ間違えば死んでいたかも知れないと振り返る。ある朝、一匹の蜂が...
犯罪小説でありながらも、超一級の純文学作品 「剃刀」(志賀直哉)(「清兵衛と瓢簞・網走まで」)新潮文庫 職人・芳三郎は熱があり、剃刀研磨の急ぎの仕事が思うように進まない。今また不意の来客を迎える。震える手。垂れる水洟。切...
原作は黒、太宰はグレー、そして志賀は白 「クローディアスの日記」(志賀直哉)(「清兵衛と瓢簞・網走まで」)新潮文庫 彼は珍しいいい頭をした男である。理解力も豊かだし、それに詩人だ。自分は近い内に何もかも語り合って彼によき...
まずはこの一作から読め!~明治・大正の短編集 以前も書きました。長編小説には長編小説の魅力がありますが、短編には短編のおもしろさがあります。日本語を噛みしめながら読みたい明治・大正期の短編小説集8冊をセレクトしました。 ...
赤西蠣太は本名?偽名?それとも…コードネーム! 「赤西蠣太」(志賀直哉) (「小僧の神様・城の崎にて」)新潮文庫 前回、本作品を取り上げ、 「謎の多い作品」と書きました。 謎の一つが、なぜ 「志賀版サザエさん」ともいえる...
「サザエさん」かと思ったら「スパイ大作戦」 「赤西蠣太」(志賀直哉) (「小僧の神様・城の崎にて」)新潮文庫 赤西蠣太は、 完成した「報告書」を疑われずに 持ち出すための方策を 鱒次郎と話しあい、 美女の小江に 艶書を送...
6000倍の価値を付加できる清兵衛の才能 「清兵衛と瓢簞」(志賀直哉) (「清兵衛と瓢簞・網走まで」)新潮文庫 12歳の少年・清兵衛は大の瓢簞好き。 それを父親も教師も快く思わない。 ある日、清兵衛は 十銭で手に入れた ...